マーキングフィルムの種類と選定の仕方
その昔、看板や標識に使用されていた文字というのは、職人さんの手描きでした。
師事したお師匠さん(先代)の描く文字がその看板屋さんの特徴でもあり、アイデンティティでもあるという、一子相伝的な職人技の時代があったのです。
それを変えたのが、印刷のデジタル化によって生まれてきたアウトラインを持つフォントデータと粘着フィルムの普及です。
サイン業界にカッティングマシンが普及し始めた1980年代当初はシステム自体が数千万円、漢字フォントもJIS第一水準(約3,400字文字)の1書体で数十万円と高価なものでした。
それが時代の流れとともに、現在のような非常にリーズナブルかつ高品質なものへと変換してきました。
と、前置きはこの程度にしまして、このカッティングマシンの主な消耗品であるマーキングフィルム(粘着フィルム)について、大まかにその分類と特長や使用上の注意点などをご紹介します。
カッティングマシンで加工する粘着フィルムは、主に下図のような3つの部分から構成されます。
この3つの部分の組み合わせによって、用途や使用方法が異なってくるのです。
主に塩ビ(PVC)が使用されています。
主な製法にはキャスト製法とカレンダー製法があり、キャスト製法はカレンダー製法と比べるとコストが上がりますが、小ロット向きで寸法安定性に優れ、長期耐久用途に向いているといわれています。
粘着フィルムも調べてみると5〜7年もの・4年もの・3年もの・短期用などがありますが、糊が違うだけでなく、基材も大きく異なる要素です。
また、最近の環境対応ということで、ポリオレフィンやウレタンフィルムを基材として使用するケースも出てきております。
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ところで皆さん、粘着と接着ってどう違うかご存知でしょうか?
マーキングフィルムの場合、基本的には粘着材が塗布されていますが、粘着材はその名の通り、粘っこいのが特長です。
接着剤の役割は、糊が硬化したり分子架橋したりして物質と物質をくっつけてしまうことですが、粘着材の場合、糊はある程度の期間、流動性を保ちます。
接着ではなく粘着であることで、鉄、アルミ、硝子(セラミック)など、さまざまな被着体に貼ることができるのです。
また、この流動性の性質を変えることによって、非常に強固な密着性を持つものから再剥離が容易な粘着シートまで設計することができるのです。
糊は、アクリル系・ゴム系・シリコン系が粘着材の代表的なものですが、自動車のエンブレムに使用されるものから卓上の付箋紙まで、粘着材の技術は多岐に渡っており、用途によって設計することも可能です。
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ライナーと呼ばれるこの部分も、大変重要なものです。
紙ベース(シリコン層を持つもの)やフィルムベースのものなどがあります。
カッティングマシンでカットする際、ライナーの厚さやクッション性などで、カッティングの適正が大きく異なります。
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以上の3つの要素の組み合わせでマーキングフィルムは構成されていますが、強粘タイプ(永久粘着)、強粘再剥離タイプ(屋外仕様でも一定期間後きれいに剥離可能)、弱粘タイプ、最剥離弱粘タイプなどと分類されます。
(この分類の仕方は、メーカーの考え方によって様々です。)
皆さんも、現在自分でご使用になっているシートがこれらの分類の、だいたいどの分類に属しているかを把握されることをお勧めします。
それによって、お客様からの要望があったときに、メーカーや販社に対して、必要な機能をより的確に伝えられると思います。
粘着剤比較表
| 粘着成分 | 溶 媒 | 特 長 |
| アクリル系粘着剤 | 水溶性 (エマルション) | シール・ラベル用途に主に使用される。 基材は主に紙。安価。環境考慮。 |
溶剤系 (ソルベント) | ラベル、マーキングフィルム用途に使用される。 基材はフィルム(塩ビ、PET、PP)が主。 被着体依存性がある。耐候性を要する。 |
| ゴム系粘着剤 | 溶剤系 (ソルベント) | 被着体依存性が少ない。粘着力等をコントロールできる。現在ではあまり使われていない。 |
| シリコン系粘着剤 | 溶剤系 (ソルベント) | 特殊用途。耐熱性、高粘着力を有する。 コストは高い。 |
参考文献@@2007年9月発行 i-window MORE(ローランドディー.ジー.株式会社)
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